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March 07, 2004

イーバンク騒動に見る実りのない泥仕合(iNTERNET magazine 2004年3月)

 実りのない泥仕合というべきか、それともエスタブリッシュメントとニューエコノミーの“文明の衝突”というべきか――。ネット専業銀行であるイーバンクと、同社の筆頭株主であるネットベンチャーのライブドア(旧社名・エッジ)が年明けから、何とも壮絶なケンカを繰り広げた。しかもオフィシャルサイト上で脅迫電話まがいの音声ファイルを暴露したり、記者会見を開いて相手を罵倒したりと、前代未聞の「公開ケンカ」ともいうべき展開になったのである。そのオープンさは、「さすがネット企業!」と誉めるべきなのか。
 「あ、もしもし、松尾です。あんまり遊んでると、おまえの会社ぶっ潰しちゃうよ。おれは本気になるぞ、お前。それじゃな」
 ケンカがピークに達した2月10日、ライブドアはこんな発言を収めた音声ファイルを自社のサイト上で公開した。同社の主張によれば、この脅迫的な言葉を吐いているのは、イーバンクの松尾泰一社長だという。だが松尾社長側は「しかるべき機関に鑑定を依頼しており、音声ファイルが偽造であるのは間違いない」と一蹴している。
 ライブドアは以前からイーバンクに出資し、3500株を取得していた。昨年2月にはイーバンク銀行ライブドア・ブランチ(支店)も開設され、両社の関係は深まりつつあった。ネット財閥を目指すライブドア側は金融業務への足がかりが喉から手が出るほどほしく、金融機関として自己資本比率を高めなければならないイーバンク側は、大口出資してくれる企業を求めていた。両社の思惑が一致したということなのだろう。昨年10月には、ライブドアが計35億円をイーバンクに出資し、持ち分14.9%の筆頭株主となるという契約書を取り交わしたのである。
 ここまではスムーズに話は進んだ。こじれ始めたのは、その後だ。
 最大の原因は、リストラを含むイーバンクの経営改善策に関する両社の考え方が違っていたということだ。出資したライブドア側は、筆頭株主としてイーバンクの経営改善に積極的に介入する心づもりでいた。そして10月の出資契約以降、ライブドアの宮内亮治取締役ら11人のスタッフがイーバンクに派遣され、融資案件の見直しや社内のコストカットを進めようとしたのである。
 ところがこれに対し、イーバンク社内からはたいへんな抵抗が起きた。何しろライブドアは名うてのM&A(合併・買収)企業であり、買収先に対する苛烈なリストラでも有名だ。イーバンク側は「ライブドアのスタッフは、まるで進駐軍気取りでイーバンクに乗り込んできた」と反発し、12月末にいたり、同社営業本部長に就任していた宮内取締役らを解任し、オフィスから閉め出すという事態へと発展するのである。
 しかし宮内取締役は、イーバンク側の対応に憤然とする。「投資の話が持ち込まれた際、松尾社長は今後、40%にまで持ち株比率を引き上げることに加え、ライブドア側が合理化を進めるという約束を口頭で行っていた。『合理化をしたいが、社内ではできなかった。うちにきてやってくれないか』と話していた」というのだ。
 この結果、両社の関係はどんどんこじれて行き、年が明けた2月9日にイーバンクが一方的に提携解消を発表。そしてその翌日、ライブドアが記事冒頭に紹介した脅迫電話を公開するに至るのである。
 ライブドア側は近く、イーバンクに対して民事提訴に踏み切る予定といい、ケンカはすぐには決着しそうにない。

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